米川大二郎さんを勝手に応援する一都民から見た、生活者本位のデジタル行政
※この記事は、米川大二郎氏本人や中道改革連合の公式見解ではありません。米川氏のこれまでの議会活動や政策姿勢に共感し、勝手に応援している一都民が、東京都のデジタル行政について考えたものです。
東京都は現在、「東京アプリ」を行政サービスの新たな基盤として整備しています。
スマートフォン上で行政情報を受け取り、各種申請や本人確認、給付、施設予約などを行えるようになれば、都民の利便性は大きく向上するでしょう。窓口まで何度も足を運ばずに済み、災害時には居住地域や年齢などに応じた情報を迅速に届けることも可能になります。
行政のデジタル化そのものには、大きな意義があります。
しかし、ここで一つ忘れてはならない原則があります。
デジタル化は、行政サービスを利用できる人を増やすための手段であって、新たに利用できない人を生み出す仕組みであってはなりません。
私は、情報公開や行政改革、働く人の処遇改善を都議会で訴えてきた米川大二郎さんの姿勢に、この問題を考える重要なヒントがあると思っています。
スマートフォンを使えることが行政サービスの条件になってよいのか
東京アプリを使うには、基本的にスマートフォンの操作が必要です。サービスによっては、マイナンバーカードとの連携や暗証番号の入力も求められます。
しかし、都民の中には次のような人もいます。
- スマートフォンを持っていない人
- 古い端末を使っていて、アプリが正常に動作しない人
- 操作に慣れていない高齢者
- 視覚や手指に障害がある人
- 日本語の説明だけでは手続が難しい人
- マイナンバーカードの暗証番号を忘れた人
- 個人情報の連携に不安を感じる人
生活支援や行政給付を必要としている人ほど、最新のデジタル機器や十分な通信環境を持っているとは限りません。
にもかかわらず、「アプリを利用できる人だけが早く簡単に給付を受けられる」という制度が常態化すれば、行政が新たな格差を作ることになります。
デジタル化によって窓口業務を減らすことは必要です。しかし、窓口や郵送、電話による手続をなくしてよい理由にはなりません。
「原則デジタル」ではなく、都民が方法を選べる行政へ
デジタル行政では、しばしば「デジタルを原則とし、利用できない人には例外的に支援する」という考え方が採用されます。
しかし、生活者の立場から考えるなら、順序が逆ではないでしょうか。
都民が、
- スマートフォン
- パソコン
- 窓口
- 郵送
- 電話
- 家族や支援者による補助
の中から、自分に合った方法を選べることが重要です。
行政の都合に都民を合わせるのではなく、行政側が都民の生活状況に合わせるべきです。
便利な人にはさらに便利に。操作が難しい人には、人による丁寧な支援を。それが公共サービスとしてのデジタル化だと思います。
デジタル化に反対しているわけではない
こうした指摘をすると、「デジタル化に反対なのか」と受け取られることがあります。
そうではありません。
むしろ、デジタル技術を活用することで、これまで行政サービスにたどり着けなかった人にも情報や支援を届けられる可能性があります。
重要なのは、アプリを作ったことやダウンロード数が増えたことを、それだけで成果としないことです。
本当に検証すべきなのは、
- 手続時間がどの程度短縮されたか
- 窓口へ行く回数が減ったか
- 行政コストが削減されたか
- 必要な人に支援が届いたか
- 手続を完了できなかった人が何人いたか
- 高齢者や障害者にも使いやすかったか
という点です。
アプリを一度ダウンロードした人の数と、行政サービスとして継続的に利用している人の数は違います。
ポイントや特典を目的にダウンロードしただけで、その後使われていないのであれば、「利用者数が多いから成功」とは言えません。
事業費と委託構造を全面的に公開してほしい
東京アプリのような大型デジタル事業には、多額の税金が投入されます。
そのため、東京都は少なくとも次の情報を分かりやすく公開すべきです。
- 開発費
- 運用・保守費
- 改修費
- 広告・広報費
- コールセンター費用
- 対面サポート費用
- 元請事業者と再委託先
- システム障害の発生件数
- 本人確認に失敗した件数
- 継続利用者数
- 行政コストの削減効果
契約金額だけでなく、どの企業に、どの業務を、いくらで委託しているのかも都民が確認できるようにする必要があります。
米川大二郎さんは、これまで都政における情報公開や行政の透明性を重視してきました。
私は、東京アプリについても同じ姿勢が必要だと考えます。
都庁自身が「成功しました」と発表するだけでは不十分です。第三者による検証を行い、うまくいかなかった点も含めて公開することが、次の改善につながります。
個人情報は、便利だからと無制限に集めてよいものではない
東京アプリが行政の共通基盤になれば、将来的には居住地域、年齢、利用施設、申請履歴など、さまざまな情報が結び付く可能性があります。
便利になる一方で、東京都が管理する情報は増えていきます。
だからこそ、次の点を明確にしなければなりません。
- どの情報を取得するのか
- 何の目的で利用するのか
- どの部署が閲覧できるのか
- 委託事業者がどこまでアクセスできるのか
- いつまで保存するのか
- 他の行政サービスと連携されるのか
- 本人が連携を解除できるのか
- 情報漏えい時に誰が責任を負うのか
利用規約の長い文章を読まなければ分からない仕組みではなく、誰にでも理解できる表示が必要です。
また、生活支援を受ける条件として、必要以上の個人情報連携を事実上求めることにも慎重であるべきです。
「ポイントを受け取りたければ、情報連携に同意してください」という形では、その同意が本当に自由なものなのか疑問が残ります。
必要なサービスごとに必要最小限の情報だけを利用する設計が求められます。
デジタル行政を支える人の待遇も重要である
アプリの操作方法を案内する相談員、コールセンターの職員、窓口で本人確認を支援する人。
デジタル行政が広がるほど、こうした人の役割も重要になります。
ところが、行政の委託業務では、入札価格を低く抑えることが優先され、現場で働く人が低賃金・短期契約で雇用されることがあります。
それでは、丁寧で継続的な支援は期待できません。
米川大二郎さんは、これまで正規職員と非正規職員の待遇格差や、同じ価値の仕事に対する適正な賃金の必要性を問題にしてきました。
私は、この考え方をデジタル行政の現場にも適用すべきだと思います。
委託契約では価格だけでなく、
- 職員の賃金水準
- 研修内容
- 雇用の安定性
- 相談員一人当たりの負担
- 離職率
- 多言語対応や障害者支援の技能
も評価する必要があります。
質の高い行政サービスは、現場で働く人を大切にすることから始まります。
東京アプリに求めたい五つの改善
米川大二郎さんを勝手に応援する一都民として、東京アプリを本当に生活者本位の行政基盤にするため、次の五点を望みます。
1.デジタル以外の申請方法も同等に保障する
スマートフォンを使わない人にも、窓口、郵送、電話などで同じ行政サービスを提供する。
デジタルを利用しないことによって、給付額や手続期間に不利益が生じないようにするべきです。
2.身近な公共施設で継続的な支援を行う
期間限定の相談会だけでなく、区市町村の窓口、図書館、地域センターなどで日常的に支援を受けられるようにする。
予約が難しい人のために、巡回支援や当日相談も必要です。
3.費用と効果を全面的に公開する
契約金額、委託先、再委託先、障害件数、継続利用率、行政コスト削減額などを定期的に公開する。
都庁内部だけでなく、独立した第三者による検証も行うべきです。
4.個人情報を必要最小限にする
取得情報をサービスごとに限定し、目的外利用を禁止する。
利用者が自分の情報の利用状況を確認し、いつでも連携を解除できる仕組みを整える必要があります。
5.支援を担う職員の処遇を適正化する
委託費を抑えるだけでなく、現場職員の賃金、研修、雇用の安定を契約条件に含める。
安定した人材が継続して支援できる体制を作るべきです。
「スマホ一つでつながる東京」から「誰もがつながれる東京」へ
「スマホ一つで行政とつながる」という構想は、便利で魅力的です。
しかし、東京都が本当に目指すべきなのは、スマートフォンを持つ人だけがつながれる東京ではありません。
スマートフォンを持たない人も、操作が苦手な人も、障害のある人も、日本語を十分に読めない人も、必要な行政サービスへ確実につながれる東京です。
デジタル技術は、都民に新しい義務を課すためのものではありません。
都民の選択肢を増やし、手続の負担を軽くし、困っている人に支援を届けるために使うべきものです。
行政に都民を合わせるのではなく、行政が一人ひとりの生活に合わせる。
私は、米川大二郎さんがこれまで示してきた情報公開、行政改革、働く人の処遇改善という問題意識は、東京アプリのようなデジタル政策を検証するうえでも重要だと思っています。
これは米川氏本人から依頼された記事でも、公式な政策文書でもありません。
それでも、一人の都民として、こうした視点を都政の議論に持ち込む政治家を応援したいと思います。
便利さを競うだけの都政から、誰も取り残さない都政へ。
東京アプリを、そのための道具にしてほしいと願っています。

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